そとでよ - モトコ・モリのインドア生活

元ひきこもりの気ままな生活。

映画「女神の見えざる手」感想

仕事が忙しくて映画見る余裕がなかったのですが、久しぶりの映画感想です。

「恋におちたシェイクスピア」「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」のジョン・マッデン監督が「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャスティンを主演に迎え、天才的な戦略を駆使して政治を影で動かすロビイストの知られざる実態に迫った社会派サスペンス。大手ロビー会社の花形ロビイストとして活躍してきたエリザベス・スローンは、銃の所持を支持する仕事を断り、銃規制派の小さな会社に移籍する。卓越したアイデアと大胆な決断力で難局を乗り越え、勝利を目前にした矢先、彼女の赤裸々なプライベートが露呈してしまう。さらに、予想外の事件によって事態はますます悪化していく。女神の見えざる手 : 作品情報 - 映画.com

たまたま時間が空いているときに見れる映画がこれだけだったので見ることにしましたが、普段はあまり見ない系統です。

癒着や贈賄に対して敏感な日本では、あまり馴染みがありませんが、米国では政策を通すために献金や世論操作のための仕掛けを行うロビー活動というものが事業として成立しており、ロビイストは登録制の正式な職業となってるそうです。

なかなか面白かったです。主演のジェシカ・チャスティンの存在感がもう抜群! 彼女なしにこの映画は存在し得ないでしょう。

作品としては、テンポもよく面白く見ることができますが、特筆すべき点というのはないと思うんですよね。ただただミス・スローンという底知れない女性のパワーだけで作品が回って行く。

顎も割れてるし、日本的にはちょっとマッチョすぎるかなぁという容姿なのですが、洗練されたファッション、エキセントリックさにどんどん引き込まれていきます。

どこかで見た感じがするなぁと思っていたら「オデッセイ」に女性飛行士役で出てたんですね。

政治の話はあまり馴染みがないので、テンポが早すぎて、状況が頭に入りきる前に次の場面に移ってしまうこともありましたが、スローンの雰囲気で何が起こっているかはわかります。

ミス・スローンはエネルギーに溢れ有能で一面的には魅力的な人物(彼女と一緒に仕事をするためにチームの半数がともに会社を移っているくらい)ですが、目的のためなら手段を選ばず、合法違法も(バレなければ)問わず、時には人の気持ちも解さないような苛烈な手段を取るため、敵はもちろん味方からもかなりの反感を買っています。

買っていた部下は移籍を拒んで元の会社に残り、新しい部下はスローンに反感を抱いて裏切り、と彼女の孤高さが女性社会と相容れないことをうまく表しています(後々の作品展開にも活きているのが素晴らしい)

眠らずに働くために薬物を乱用し、後腐れない関係のために男を買う。それでいて彼女が何故そうなってしまったのか? 何故貪欲に勝利のみを求めるのか? どのような心情で銃規制に熱を上げるのか? そう言ったことはほぼ明かされないので、彼女のバックグラウンドはほぼ観客の想像によるわけです。

自分の優秀さを誇示したいだけの生来のサイコパスなのか、あるいは銃社会の犠牲者で病んだ心を守るために、過剰防衛的な姿勢を貫いたが故の強さなのか、それともその両方なのか? 答えは作中にはないんですよね。

彼女に反感をもって元会社に居残ったと思われていた腹心はスローンの子飼いのままで、スローンを潰すべく規制側が裁判長を買収していたことを暴き出します。

スローン自身も偽証罪で5年の禁固刑を受ける代わりに、銃規制側に回復不能な悪印象を植えつけて、結果的には勝利を手にしたのでした。

勝利のためならば自らも犠牲にした彼女ですが、部下にさえ手のうちを明かさなかったのは、偽証罪の5年に部下を巻き込まないためだったとあっさりと告げることで、作中では一貫して、人の心を考えていないように見えた彼女が、実は部下を思っていたことを示して、あっさりと終わるのが実に鮮やかで気持ちのいい作品でした。