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30代女の趣味と老後資産形成

見捨てられ不安と映画「A.I.」の話。

定期的に感動の涙を流すことで意識的にストレスを発散すると、メンタルが安定するという説を見かけたのでやってみようとAIを見ました。

最近は涙もろくなってきたので劇場でも泣きますし、予告編ですら泣けるようになってきて、涙のコストパフォーマンス(?)が異様に高いのですが、昔はうるっと来ることはあっても実際に泣くまでいたることがありませんでした。子供の時に見たミュウツーの逆襲(名作)を除きます。

そんな中で、AIは以前見た時、涙を流す流さないのレベルではなく、息が詰まって苦しいくらいの号泣レベルで泣けたので、もう一回見ました。やっぱり号泣しました。

今日は何故「AI」が無性に泣けるのか? 私の琴線を刺激するのか考えてみようと思います。

見捨てられ不安

カウンセリングを受ける中でわかったことは、私は「見捨てられ不安」が強いということです。

生まれた直後に歩き出す鹿など、動物は人より成熟に要する期間が短いですが、人間の場合、どんなに自立が早くとも10代までは親の庇護下にあることがほとんどです。

親の機嫌を損ねてご飯がもらえなくなったりすると子供は生きていけないので、子供は親に見捨てられまいと親の気にいるように振る舞おうとします。

「AI」のデイビッドの、子供の代用品として、刷り込まれた親を愛すること、親に愛されることのみを目的として振る舞う様が、見捨てられ不安をもろに刺激して来る映画なのです。

デイビッドは親であるモニカを盲愛しますが、デイビッド起動後に実の息子が病気から回復したため、映画の中でデイビッドがモニカに愛されるシーンというのはほぼないのです。

幼少期の子供が親に向ける愛情は絶対のものです。虐待されても愛されようとする子供心理が良い例で、親の庇護下になければ生きていけない以上、それは当然のことなのですが、人間であれば成長に伴い親に反発するなどして親の庇護下から離れることができますが、デイビッドは成長することなく、永久に与えられた一つの課題「親に愛される」ことを達成しようとするのです。

セクサロイドのジゴロ=ジョーが「女性を悦ばせること」だけを考えて、人の名前を聞けば「女か?」と聞き、「女だったら話は簡単だ」と如何に自分が優れたセクサロイドであるかを誇るように。

最近、話題のディープラーニングも内部的にはAIに「ハイスコアを出すこと」を求め、スコアの基準として、長く歩けばスコアが上がる、ゲームに勝ち続ければスコアが上がるなどのようにAIの目的に沿った基準を与えることで、AIはハイスコアを出すために努力し学習します。

それは、例えばアシモフのロボット三原則のような制約「1人間に危害を加えてはならない、2人間の命令に従わなくてはならない、3、1と2を満たさない場合に限り自分の身を守るために努力すること」がなければ、人を殺すことでハイスコアを達成しうるAI=軍用ロボットなどが生まれかねないということでもあります。

アドラーが第一子の子供が体験するものとして「王座の陥落」と定義した現象があります。第二子以降が生まれることで、それまで一身に注がれていた愛情が目減りしたことに第一子は危機感を覚え、両親の愛情を取り戻そうとします。

赤ちゃん返りという形で両親の気をひく行動に出るか、第二子の面倒を見て両親にメリットを提供し自分の存在意義を確保するかの2つのパターンが多いと思います。

私も第一子生まれだったので、妹と弟の面倒を見る形で愛情を取り戻そうとした時期があったんですが、弟が生まれて以降、母親が病気で健康を損なってしまったので、いつまでたっても愛情が戻ってこなかった=見捨てられてしまったんですよね。

未だに取り戻せなかった愛情を求めてあがいている気がしますし、「見捨てられ不安」があるがために、他人に親と同じような愛情を求めようとする。求めたいけど求めれば嫌われるので我慢しようと対人関係で深入りを避けるといった回避行動を抱えています。

愛されている実感がないので常に不安で、いじめの体験もあってか、誰かに嫌われたと思うだけで恐慌状態に陥ります。

だから、取り戻せない愛情を求めて行動するデイビッドの哀れさと、そのようなものを生み出してしまった人間社会のエゴに自分自身の境遇を重ねて、もうありえないくらい泣けるんだなーと分析できました。分析できたところで泣くんですけど。

大好きなお母さんを自分が生まれたことで不幸にしてしまったという認識が生きていることへの罪悪感になり、母を不幸にした父に似るまいと振る舞うことが持って生まれた自分の性質への否定になるという、そんな状態で生きやすいわけがないんですよねぇ……。

何故こんなに泣けるのかわからない状態から、あ、見捨てられ不安があるからだと分析できるようになったのは進歩かなと前向きに捉えておきます。好きな漫画とかアニメでも「認められたい相手に認めてもらえなかった」とか「認められたいと見当はずれの努力をしている」キャラが好きなのはそういう理由なんだなぁと思います。

萩尾望都作品の中で一番好きな作品は一角獣種シリーズのX+Yですが、次いで好きな作品がメッシュで、主人公のメッシュも母に愛されようと努力したのに報われなかった経験があり、かといって自分を放置した父のことも愛することが出来ずに屈折しています。

萩尾先生の作品はイグアナの娘もそうですが、親に認められようとあがく子供の存在が度々描かれている(萩尾先生は長らく両親に漫画家という職業を認めてもらえなかった)ので、シンパシーが湧きます。

メッシュ I  萩尾望都Perfect Selection 4 (フラワーコミックススペシャル)

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メッシュ II  萩尾望都Perfect Selection 5 (フラワーコミックススペシャル)

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